「建設業許可を取りたいが、貸借対照表を建設業法様式へ書き換えるのが面倒だ」と考える建設業の経営者は少なくありません。しかし、貸借対照表の建設業法様式への書き換えはポイントを押さえれば簡単です。
ここでは、福岡の行政書士が建設業許可の「貸借対照表の書き換え」について解説しています。
建設業許可と財務諸表について
建設業許可を取るには、財務諸表を提出する必要があります。
法人の財務諸表は「貸借対照表」「損益計算書・完成工事原価報告書」「株主資本等変動計算書」「注記表」があります。
個人の財務諸表は「貸借対照表」「損益計算書」です。
必要な財務諸表は「直近1年分」です。会社設立後に決算を迎えていないときは「開始貸借対照表」を提出します。
建設業許可の財務諸表は、税務申告様式から建設業様式に書き換えることが必要です。貸借対照表の書き換えについて確認します。
法人の貸借対照表の書き換え
建設業許可に必要な貸借対照表を作るには、税務申告様式の貸借対照表を用意します。そして税務申告様式の貸借対照表を建設業様式に書き換えていきます。
このとき、通常の勘定科目から建設会計の独自科目に書き換えることが必要です。
通常の勘定科目から建設会計の独自科目に書き換えが必要な科目は次の通りです。
通常の勘定科目 | 建設会計の独自科目 |
---|---|
売掛金 | 完成工事未収入金 |
前受金 | 未成工事受入金 |
前渡金、仕掛品 | 未成工事支出金 |
買掛金、未払い費用 | 工事未払金 |
書き換え作業の注意点
流動資産の「受取手形」は「割引手形」「裏書手形」の金額は控除し注記表に記載します。「不渡手形」は含めません。
流動資産の「完成工事未収入金」は工事の売掛金のことです。完成工事高に計上した請負代金の未収額を記載します。流動資産の「未成工事支出金」は、引き渡しを完了していない工事に要した工事原価相当額を記載します。
投資その他の資産の「破産更生債権等」は、「営業債権」「貸付金等のうち破産債権」「再生債権」「更生債権等の債権」で、決算期後1年以内に弁済を受けられないものを記載します。
繰延資産は「創立費」「開業費」「株式交付費」「社債発行費」「開発費」に限定されています。5科目以外の科目が税務申告用の決算で計上されているときは、無形固定資産や投資その他の資産に計上します。
流動負債の「工事未払金」は、高次の買掛金のことです。
流動負債の「未払金」は、固定資産購入代金等の未払額で決算期後1年以内に支払うものです。
流動負債の「未払法人税等」は、当期に発生した法人税等の未払額を記載します。
流動負債の「未成工事受入金」は、引渡しを完了していない工事に関わる前受金のことです。
純資産の部のそれぞれの勘定科目は「株主資本等変動計算書」の金額と一致します。株主資本の「繰延利益剰余金」は前期の繰延利益剰余金に当期純利益を加減した金額です。
千円単位を持って表示し、端数は切り捨てします。合計は、円単位の金額で合計した後に千円単位で表示します。
個人事業主の貸借対照表の書き換え
個人事業主が青色申告をしている場合は、貸借対照表を作成しています。白色申告の場合は貸借対照表を作成していなくても、仕訳帳を付けていれば大丈夫です。
個人事業主の貸借対照表の書き換えは、個人事業主の勘定科目に注意すれば、法人の貸借対照表の書き換えと同じ手順で可能です。
個人事業主の勘定科目
個人業主の勘定科目には「期首資本金」「事業主借勘定」「事業主貸勘定」「事業主利益(事業主損失)」があります。
「期首資本金」は前期末の資本合計のことです。「事業主借勘定」は事業主が事業外資金から事業のために借りたものです。「事業主貸勘定」は事業主が営業資金から家事費等に充てたものです。
売上や経費だけでなく「事業主借勘定」や「事業主貸勘定」まで記帳すれば、貸借対照表の作成は集計すれば作成でき、建設業様式に書き換えることも簡単です。
書き換え作業の注意点
「事業主借勘定」または「事業主貸勘定」の計算式は「(純資産の合計)-(期首資本金)-(事業主利益)」です。
計算式の値がマイナスならば「事業主貸勘定」に記入し「事業主借勘定」は空欄にします。
経営事項審査と消費税抜き方式
建設業許可を取得後に経営事項審査の申請を予定するならば、消費税抜き方式の財務諸表で提出することが必要です。
経営事項審査の申請を予定するならば、消費税抜き方式の貸借対照表に書き換えましょう。
福岡県で建設業許可をリーズナブルに取るには
建設建設業許可を行政書士に依頼すると10万円以上かかります。建設業許可は手間も時間もかかる申請手続きだからです。
プラウト行政書士事務所は、建設業許可の行政書士手数料を「個人:6万6千円」「法人:7万7千円」とリーズナブルに定めています。
建設業許可のお問い合わせは、以下からお願いします。